監督便り Vol.22 2024 May

2024年5月28日

監督便り Vol.22 2024 May

学生は春のシーズン真っ盛りですが、OBOGの皆様は如何お過ごしでしょうか。現役の活躍のニュースもあり日吉や国立に足を運ばれた先輩方も多いかと思います。

5月最初の朗報は、バハマで開催されました世界リレーの4x100mRに出場した三輪颯太(環4、西武文理)が予選、決勝とアンカーを好走、パリ五輪4x100mRの日本の出場権獲得に貢献しました。本人としては初の日本代表に選出され、サニブラウン選手らと一緒にリレーを組めた事は今後の競技人生に大きな影響を与えてくれる経験となりました。

5月はチームとして春の一番大事な試合、関東インカレの月です。
試合前の戦力分析では男子16点-13位と女子16点-13位と昨年から目標に掲げた男子40点、女子20点には遠く及ばず、他大学との差は明治13位-16点、大東文化15位-13点、流通経済16位-12点と下3校とは数点差と予断を許さない気持ちで臨みました。
初日の400m、110mH、十種競技の活躍でチームの雰囲気も良くなり、2日目で400mで豊田兼(環4、桐朋)、十種競技で髙橋諒(商1、桐朋)が優勝、110mHで岩井章太郎(環4、同志社)が5位と2日目終了時に20点を獲得。400mは準決勝で45“57と今季日本最高、廣瀬英行さんの塾記録を更新しこの種目13年振りに優勝。十種競技では今田忍さん以来、58年振りに塾新で優勝。岩井は去年の4月に骨折してから1年間殆ど走れず苦しい時を過ごしましたが、春先からPBを更新しランキング10位であり乍、結果として4年生で初めて決勝進出、5位入賞を果たしました。
3日目の走幅跳は4年間期待されながらも、結果が出ず苦しんだイベルブランドン(総4、洛南)が4年生で初めての決勝進出、10位以下のランキングにも関わらず5位入賞と奮闘しました。
4日目のハーフマラソンはOBOGや父兄の方々のご協力で慶應義塾の幟を持った応援が朝から始まり、2004年の亀田健一さん以来20年振りに田島公太郎(環4、九州学院)が8位入賞しました。
女子部員でこの冬一番厳しく練習をしてきた副将の仲子綾乃(総4、浜松西)が最後の年に去年の4位から一つ順位を上げ、銅メダルを獲得。女子槍投げは春先に利き腕の薬指を骨折した倉田紗優加(環2、伊那北)が怪我明け初戦の第一投で自身の塾記録を更新し57m27で2位以下に1m85の差を付けこの種目慶應としての関東インカレ初優勝を飾りました。
200mでは前述の三輪颯太がバハマ帰りの疲れもあり乍ら、最後の関東インカレに出場、5位入賞、そして初出場の林明良(法2、攻玉社)が予選からPBを更新し先輩の三輪を後半捉え4位入賞しました。200mの複数入賞は1966年の長谷川一三さん(2位)、岡松武司さん(4位)以来、58年振りとなり大いに盛り上がりました。

結果的に優勝3種目で、男子34点-12位、女子14点-15位という結果でした。
監督としてこの4日間で感じたのは金メダルを獲得した3名は勿論のこと、4年生の活躍が目立った大会でした。過去は点数を獲得する選手が少なく、4年生の限られた選手に頼ることになり、その選手一人の肩に重圧が掛かり怪我を誘発し思い通りの結果が出ない事が多かったように思います。然し乍、ここ数年を見ると1人の選手に頼ることなく4年生が引っ張り自分の仕事をしっかりする姿勢が練習にも見受けられます。1人が1種目で獲れる点数は8点が上限であり、それだけでは昨今1部残留は出来ません。それを各人が理解し自分も点数を獲るが、お前も頼むぞと言った姿勢が窺えます。引き続き「強くて良いチーム」を目指す上で欠かせない、自分の出来る範囲は最大化するものの、出来ない範囲は仲間を信用し任せるという姿勢が今後更に浸透していくであろうと思える関東インカレでした。

然し乍ら、4日間戦った後の全体集合では豊田主将、吉川昂希主務(総4、湘南学園)からは目標であった男子40点、女子20点に届かなかった事が第一声に出るなど、現状に満足する事なく、上を目指す姿は頼もしく思いました。107代の気持ちの強さ、そして108代へ託す想いを感じた集合後の挨拶を聞き、107代の残り半年の活躍が更に楽しみになりました。

今回の関東インカレの活躍で特筆する選手は多くありましたが、今後の期待としてOBOGの皆さんが感じられるのは、1年生乍、十種競技で優勝した髙橋諒では無いでしょうか。八種競技の高校記録保持者として競走部に入部、新たに棒高跳、円盤投の二種目を加え、関東インカレでは砲丸投、走高跳、円盤投、棒高跳、槍投げの5種目でPBを更新し、7235点とU20日本最高記録、U20世界選手権標準突破、今夏ペルー(リマ)で開催されるU20世界選手権出場を目指し日々練習に励んでおります。髙橋効果からか、新一年生に八種競技をしていた者が髙橋入れて4名入部し、先輩の山田直弥(商3、清水南)、鎌形圭佑(経3、慶應)と合わせて6名の混成ブロックが誕生する勢いです。ここで問題なのが、練習器具の不足となります。特に棒高跳のポールと槍投げの槍が不足しており、OBOGの皆さんのご協力をお願いしたいと思います。2年前に一人のOBのご寄付により当時主将の伊藤達也(帝京大学、2024卒)に槍を購入した際、後日、事前に知っていれば投擲の先輩として寄付したかった等のお叱りのコメントを頂きました。今回はそうしたお話しを受けこのような形で事前にご連絡させて頂いております。混成の髙橋諒とそのブロックを中心とした跳躍、投擲選手の活躍の為、ポールと槍のご寄付をOBOGの皆さまにお願い出来ればと思いますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。詳細は追ってご連絡申し上げます。

19日にはセイコーゴールデングランプリの400mHに出場した豊田兼が自身の持つ塾記録を0.11更新し、今季日本最高、日本歴代5位の48”36で優勝しました。既にパリオリンピックの標準記録を突破しており、6月末の日本選手権で優勝すれば自動的にオリンピック出場が確定する為、大いに期待したいところです。

シーズンは始まったばかりですが、多くの種目で好結果も出始めました。怪我や不調で記録が出なかった者がいるのも事実です。「強くて良いチーム」を目指し、部員全員が好記録を出せる環境を現役のサポートスタッフやOBOGの皆様と一緒に整えて参りますので、107代のシーズンを見守って頂ければ幸甚です。
どうぞご期待下さい。

競走部監督
鹿又 理

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